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書評:ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男(前編)

ゲームの父・横井軍平伝  任天堂のDNAを創造した男
本書の表紙

著者:牧野武文さん
発行:角川書店


「ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男」は、
任天堂およびゲーム業界に多大な功績を残した人物である「横井軍平」さんの歩みや思想を紐解いた本です。
主に横井さんがファミコン発売前の任天堂に入社した時から任天堂退社に至るまでをつづった、
ある種の伝記のような本です。


「横井軍平」という人物を聞いてみても、今日びの若いゲーマーには聞き覚えのない名前でしょう。
それどころか、昔からゲームをプレイしてきた人でも、この人の名前を知っている人はまれかもしれません。

しかし、現在の任天堂を形作るうえで決して外せない重要人物であり、
マリオの生みの親である宮本茂さんが「師匠」と仰ぎ慕っているほど影響力のある人物です。
海外でも非常に評価が高く、世界中のゲームクリエイターが参加するゲーム開発者会議である、
「Game Developers Conference」(通称GDC)において、2003年に生涯功労賞を受賞しています。
クリエイター同士の投票によって受賞者が決定する最も名誉ある賞です。


横井さんを知らない方に一言でその凄さを説明するとしたら、
「十字キーを発明した人物」「ゲームボーイを開発した人」というのが最も分かりやすいでしょう。
(ファミコン以前のゲーム機のコントローラーは、レバーであったり、本体をそのまま持って操作するなど、各社ごとに異なるものでした)

しかし、それ以上に重要なことは、現在の任天堂の物作りの根幹をなしている「枯れた技術の水平思考」という哲学を任天堂に根付かせた点にあると思います。
「枯れた技術の水平思考」は任天堂ファンなら聞き覚えがあるかもしれませんね。


しかし、これほどの大人物なのに、この人の名前を知っている人はそう多くありません。
その原因としては、主に3点挙げられると思います。

まず第一点。昔は開発者が表舞台に立ってゲームを語るということが少なかったという点。
そのような仕事はどちらかと言うと、高橋名人のような広報担当者の担う範囲だったのでしょう。

次に、山内溥 前社長(現相談役)の時代の任天堂は特に上記の傾向が強く、
山内さん自身がマスコミ嫌いであった点が挙げられます。
横井さん自身も、商品はみんなで作るものであり、
一人の開発者に焦点が当てられるのを嫌ったということもあります。

最後に、恐らくこれが最も大きな要因だと思いますが、横井さんは1997年に交通事故で亡くなっており、
表舞台に立つ機会が永久に失われてしまっているという点です。


横井さんのご逝去から15年以上が経過し、ゲーム業界を取り巻く環境も様変わりしました。
ゲーム業界が次の舞台に歩を進めるためにも、
横井さんが成し遂げてきた偉業と、開発してきたものがどのような考えのもとで生み出されたかを再認識するのは非常に有益であると思われます。


具体的な中身に関しては続きから。
書評と言うより、本書をもとに横井さんについて語った内容になっていますが、
そこはあまり気にしないでください。
横井さんという素晴らしいクリエイターがいたことを伝えたいと思ったらこんな形になってました。



本書は全7章構成になっています。
巻頭には横井さんが開発した様々なおもちゃが掲載されています。

横井さんの初めてのヒット商品である「ウルトラハンド」に始まり、「ゲーム&ウォッチ」、
「ゲームボーイ」、「バーチャルボーイ」、そして晩年に任天堂を離れてから開発された「ワンダースワン」など、これだけでもファンからはお金を取れる内容だと思います。



 ・DS、Wii誕生の根幹にある「枯れた技術の水平思考」

1章ではDSとWiiがどれだけヒットしているかを説明し、
その根底に「枯れた思考の水平技術」があることをつづっています。


現在、DSは全世界で約1億5000万台(国内約3200万台)、
Wiiは約9700万台(国内約1200万台)もの売上台数を誇ります。
そのヒットの要因としては、Wiiリモコンやタッチペンを使った直感的な操作により、
誰にでも、それこそ、今までゲームを触ったことのない人でも遊べるようにしたという点がよく言われています。

しかし、ここで重要なのは、WiiとDSがハードとしての性能を抑え、
直感的な操作を導入した背景は何なのかということです。


実は、DSとWiiが発売される前のゲーム業界は危機にありました。
(今も任天堂以外はあんまり変わっていない気がしますけど)

ハードの進化とともに、映像や音声、動画、キャラクターのモーション、グラフィックの3D化など、
ハードの表現力も著しく発達していきました。
それとともにゲームメーカーもゲームの重厚長大路線を歩み、
普段からゲームに慣れ親しんでいる人々はハードの進化を喜び、喝采を上げました。

一方で、できることが増えた分ゲームとしては複雑になり、その結果、
「今のゲームにはついていけない」という人も増えていきました。

また、ハードの進化に伴って開発が長期化し、開発費が高騰した結果、
「買ってくれるのは一部のゲームマニアだけで、しかもコストは増え続ける」という、
商売としては最悪の状態に陥っていたのです。

事実、日本のゲーム市場は1997年をピークに、年によって波があるものの、減少傾向にあります。
(参考:ゲーム業界.com様)
岩田社長が「ゲーム人口の拡大」を唱えているのも、こういう状況を踏まえてのことでしょう。

この状況を打破するべく投入されたのがDSとWiiであり、
誰にでもプレイできる入力デバイスを用意し、性能を抑制することでコストを抑え、
アイデア勝負のソフトを出しやすくする環境を整えた結果、
多数のプレイヤーと多くのソフトが集まったのです。
(もっとも、Wiiに関してはサードパーティ製のソフトの売れ行きは芳しくないそうですが・・・。)


このときにカギになったのが「枯れた技術の水平思考」です。
ある分野ではすでに使い古された技術を別の分野に転用することで、
他にはない、世界に一つだけのものを作る。
技術自体はすでに枯れているのでコストは安いし、他にはないものなので競争もなく、
高い価値を維持できるという哲学
です。

この思想については岩田社長も触れており、社長就任にあたって任天堂はどのような方向性でいくべきかと考えたとき、社内に根付いていた伝統をもとに、枯れた技術をアイデアで活かし、新しいユーザーを開拓していくという方針を立てたそうです。
(参考:PC Watch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース「任天堂 岩田聡社長インタビュー(1) マンマシンインターフェイスを直感的にすることがカギ」

そして、任天堂の伝統、哲学である「枯れた技術の水平思考」を根付かせたのが、
他でもない横井軍平さんだったというわけです。



2~3章では、ファミコン発売前の任天堂において、
横井さんが携わってきた玩具にまつわるお話が出てきます。
このときの経験が、後の活躍を支える大きな原点となっており、
ファミコン以前の任天堂の歴史という点でも大変貴重な記述になっています。


 ・驚かせることが好きな技術者

横井さんは技術者としては少々変わった部類に入ります。

戦後日本でもてはやされてきた技術者というのは、
自動車業界や家電業界など、最先端技術を追い求めることで評価されてきた研究者タイプの人々です。

しかし、横井さんは最先端技術にはそれほど興味がなく、
むしろものを作って人を驚かすことが大好きな人なのです。
そのような人だからこそ、枯れた技術を使い、アイデアで勝負する娯楽産業にうまくマッチしたのだと思います。


横井さん自身は、落ちこぼれだった自分を任天堂が拾ってくれたと述懐していますが、
逆に任天堂以外の会社に行ってしまったら横井さんの手腕は発揮できなかったのではないでしょうか。
横井さんの活躍には山内社長という良き理解者がいなければ為し得なかったことでしょうから。



 ・転機となったヒット商品「ウルトラハンド」

横井さんの躍進のきっかけとなった商品は「ウルトラハンド」(1967年発売)だと言われています。
手元のハンドルを絞ることで先端のハンドが伸び、物をつかむことができる玩具です。

構造的には特に難しいものではなく、仕事をサボって片手間で作り、同僚に見せて楽しんでいたところを当時の山内溥社長に見つかり、商品化しろと言われたのが世に出るきっかけだったそうです。
(なぜ仕事をサボっていたかと言うと、当時の任天堂は花札とトランプが主力商品であり、電子工学科卒の横井さんにはあまりが仕事なかったそうです。当時の任天堂がなぜ横井さんを採用したかはいまだに謎に包まれています)

ウルトラハンドのヒットをきっかけとして、任天堂に開発課が設置されることになりました。
当初は横井さんと、当時経理を担当していた今西絋史さんしかおらず、
実質横井さん一人のための部署が新設されたのです。
その後開発課は任天堂の成長とともに規模を大きくしていきます。


ある意味不良社員と化していた人物の作ったおもちゃを商品化しろと言い、
商品開発の主力に抜擢した山内社長の慧眼には恐れ入ります。

ちなみに、クラブニンテンドーの交換商品として、
「Wiiで遊ぶウルトラハンド」というソフトが配信されています。



 ・「枯れた思考の水平技術」の原点

横井さんが手がけた玩具の中でも伝説となっているものがあります。
名前は「ラブテスター」(1969年発売)。本体から一対のコードが伸びており、
その両端を男女が握ることで掌の発汗量を測定し、愛情度を測るという装置です。

ラブテスター
ラブテスターの復刻版。テンヨーから発売されている。



セールス的にはあまり振るわなかったそうですが、
「枯れた技術の水平思考」を内包した、ある意味横井さんの原点になっている商品です。

ラブテスターの原理は検流計と同じです。
検流計をそのまま売っても安い価格でしか売れませんが、
検流計という使い古された技術を、「女の子と手を握る」という別の使い方に応用することで、
付加価値の付いた高い商品にすることができたのです。


横井さんの商品作りは、最先端技術が普及しきって枯れてきたところにあり、
ラブテスターはその哲学を体現した最初の商品となりました。



その後は「光線銃」シリーズのヒット、レーザークレー事業の失敗、
アーケードゲーム事業への出向(1970年代半ばの頃)、宮本茂さんの入社など、
色々なことが語られますが、それほど重要なところはないと思ったので割愛します。
ただ、横井さんの発想力には目を見張るべきものがあり、
非常に興味深い内容だったということは申し上げておきます。


今回はここまで。
後編に続きます。



 関連記事
・書評:ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男(後編)
・書評:ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男(中編)



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